仲町台街づくり 1993

港北ニュータウンの仲町台に、街づくりをするチャンスを横浜市から頂いた。
地元の方々、誘致されたドイツ学園や、企業のキーパーソン、そして、都市デザイン室のメンバー、住都公団などが一堂に会し早速勉強会が始まった。多様な意見を取りまとめるために、多くの事例を紹介し、CGによるシミュレーションを使った検討作業が進められた。


デザインガイドラインのテーマを決めるにあたって、特定の地域文化の真似はしたくなかった。そこで提案から選ばれたのが「ネオクラシック」である。ドイツが有名であるが、日本を含め広く地域独自の「ネオクラシック」が見られる。

建設が先行する、駅舎、歩道橋、集合住宅などの設計を私が引き受け、ネオクラシックを適用した。つくる場合の参考にしてください、というわけだ。この方法のヒントは、大倉山商店街では、皆がよく知っている大倉山集古館をテーマに、統一感のある商店街が作られた。まちづくり協定のパンフレットには、協定の内容を想定した架空の街並みのイラストを掲載した。一般の工務店などは使いやすいスタイルとしたので、驚くほど統一感のある街並みが出来上がった。目指したのは当たり前に調和が取れかつ、多様性のある街並みである。
色彩ガイドラインは、ポートサイドでは大雑把な規定しかできなかったので、仲町台ではより詳細な規定を定めた。
まとめられた「まちづくり協定」は、建築予定者にパンフレットのほかビデオでも配布され、内容の伝達を図った。配付されたビデオを観る
都市デザイン的には、幹線道路沿い駅前商業施設、歩行者専用道路、公園と接するエリアといったゾーンごとの特性を定め、より詳細な誘導をした。協定には入っていないが、ここにはランドマークを、ここにはアウトドアカフェを、などという下図が用意され、個別に誘導した。
大規模な建築は都市デザイン室も入り、設計調整会議という場が設けられ、材質感も含めて誘導ができたのは、担当者の努力によるものである。
仲町台には、機能をもったアート作品が多く作られた。
ドイツ学園の入り口には、PTAの方による作品「雪づり」がアイストップ彫刻となった。地下鉄の変電所の壁面には、電気の稲妻をイメージした。変電所の側面はZがZOO(動物園)となり、いろいろな動物からサンプリングをした色帯で構成した。谷内つねお氏に「N」をテーマとした彫刻を依頼した。実は、駅のAからZまで計画したが、実現したのは一部である。