秋留台計画 1999

秋留台地域計画は多摩ニュータウンの後を継ぐために、複数社の設計チームで検討が進められ、私は主に、GIS(地図情報)を使った地形データや三次元CGによる各種シミュレーション、そして、街区の整備イメージ提案などを担当した。

主要な幹線道路の位置は既に決められている。丘陵地帯で大量の土の移動が発生するので、その計算も私の役割だった。地区外に土砂を排出しないことが原則である。最上位にあるのが環境アセスメントで、災害発生の予防や、貴重な生態系の保護が求められる。極端な堀割り道路は避け、安全に走行ができ景観的にも美しいのが理想である。一方で、開発としては産業の誘致及び、居住人口の定着が求められる。このような相矛盾する要素を同時に検討し、最適な関係性を持たせるという大変な作業である。
ある会議の後、コンサルタント2社の代表に呼ばれ、開口一番「堀内さん、慣れていないね」と言われた。私はびっくりしたが、すぐその意味を悟った。その日の会議で、私は、大量の土砂移動が発生し、高層建築が予定されているところで土厚が30メートルに達することを指摘した。いわゆる、軟弱地盤である。
「慣れる」とは、仕事は役所に言われた通りの作業をすれば良いので、私のように問題を指摘し、作業が進まなくなると皆が困るということだ。コンサルタントたるもの間違いを指摘するのも仕事の一部だと考えていた。私は慣れていない訳である。このしばらく後、都知事が青島幸男となり、臨海都市博覧会と同時に、この計画は中止になったようだ。

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