猛暑時の公園・庭園は安全か?

シェアマップには屋外の庭園や公園などが「クールシェアスポット」あるいは「ひと涼みスポット」として登録されています。昨今の猛暑日では、路上などほとんどの都市空間は熱中症になる危険が高い状況ですが、庭園や公園などは果たして安全に滞在できる状況なのでしょうか。

猛暑の日に、シェアマップに登録されている都心の名庭園やポケットパークなどがどれほど涼しいのか、あるいは涼しくないのか、2019年8月3日に測定検証をしました。

当日の 14:00 の環境省が公表するWBGT値は31.3℃(基準値とします)でした。
測定の結果、日陰の無い歩道は、基準値より約1℃高くなり、街路樹の日陰がある歩道は基準値よりも約1℃低くなる、というわかりやすい結果が出ました。
街路樹の茂る「表参道」は、日向でも気温上昇が押さえられていることが確認できました。

代々木公園と新宿御苑は、日向でも基準値より約1℃低く、日陰では約2℃低くなります。WBGTを測定した地点の中では、新宿御苑の樹林地が最も値が低く、測定日は風もあり涼しく感じられました。当日は公表WBGT値が31.3℃「危険」でしたが、日陰に入れば「厳重警戒」レベルとなりました。

今夏は、WBGT値が 33.4℃まで上昇しており、そのような酷暑時にはどうなのか、再度測定をする予定です。

WBGT(湿球黒球温度)とは、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、以下のように算出されます。
 屋外:WBGT = 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度(気温) 
 屋内:WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度

今回の測定に用いたWBGT計は湿球のかわりに湿度計を使ったハンディタイプです。(品番:タニタTT-562)WBGT以外に、気温・湿度も同時に記録できるので便利です。計測値に若干の個体差があるので、測定後に補正しています。
WBGT計に特徴的な「黒球」は、日射と周囲からの輻射で温められ、風により冷やされますので、測定場所の固有の環境を反映します。以前はWBGT値の測定には大がかりな装置を使いましたが、ハンディタイプの登場により、ピンポイントのWBGT値を簡単に測定できるようになりました。

使用温度計はばらつきが約±0.5℃の範囲内であることを確認しました。右は表面温度計。
8月3日(土)測定前の集合写真です。

速報値として、一部のWBGT値だけを公開しました。
一日で全ての予定地点の気温測定ができなかったので、8月3日の測定時間帯と同等のWBGT値(31〜31.3℃:環境省発表)の日時を選び、引き続き測定をしています。
測定結果の集計ができたら、こちらで公表します。