POPS

POPS: Privately Owned Public Space とは、オフィスビルなどの民間施設が提供する、一般に開かれた広場などであり、その発祥はニューヨークである。最初は彫刻が設置される程度であったが、ベンチや椅子、木陰があるポケットパークが生み出された。そして、対象が屋内空間にも拡げられ、夏は冷房が効き、冬は暖房された空間は、市民や観光客が一息つける憩いの場となっている。宅地内なので、その維持管理はビルオーナーの負担である。ニューヨークの中心部には数多く存在し、ニューヨーク都市計画局はオンラインでPOPSを検索できる地図を公開している。
ニューヨーク都市計画局のオンラインマップ(緑色の項目に絞ると、POPSが表示される)

日本でもニューヨークに倣って導入された「公開空地」であるが、ニューヨークが日本と違うのは、その使い道についてガイドラインがあり、用途や維持管理についてもチェックされることである。これに比べると日本では、建築容積のボーナスを与えることが目的化しており、防災空間や緑被率を高めるための植栽以外の使い方の誘導が少なく、広場としては有効に使えないケースが多い。立ち入りや飲食を禁止しているケースもある。

じつはPOPSは、クールシェアスポットが目指す目標のひとつである。都心には、整備すればクールシェアスポットとして活用できる公開空地が多くある。またオフィスのエントランスまわりなど、POPSとして活用できる空間だが、ベンチ等の設置は少なく、施設利用目的外に滞在することは難しい。

こういったスペースを、オリンピック開催期間だけでも、暑熱対策のためのクールスポット(屋外)や、クールシェアスポット(屋内)として提供し、来街者の熱中症予防に活用することができないであろうか。