クールシェアと熱中症予防

クールシェアは、省エネルギーに加え、熱中症予防としての取り組みが増えてきました。自治体が熱中症予防として設置する「涼み処」(オアシス等、名称は様々)は、地域にお住まいの方を主な対象とするケースが多いですが、クールシェアスポットによっては、都市に訪れる多くの方を対象とします。 自治体によっては「クールスポット」(屋外の涼しい場所)の開拓を進めていますが、異常気象による酷暑、市街地のヒートアイランド現象に対応するためには、避難場所としてのクールシェアスポット(屋内の冷房が効いた空間)の普及が必要だと考えます。 クールシェアのモデルは、欧米の “POPS” (Privately owned Public Space):公開された私有地 という考え方です。居心地の良い屋外の公開空地(クールスポット)や、屋内の公開空地(クールシェアスペース)が多くあります。これに比べると日…

“ラストマイル”とラストワンマイル

2018年4月、東京オリパラ組織委員会の方から、はじめて”ラストマイル”という言葉をうかがいました。英語的には”Last One Mile”なので、?と思ったのですが、”ラストマイル”とは、競技会場に近い指定駅から競技会場までの徒歩ルートのことでした。例えば、千駄ヶ谷駅とメインスタジアムとの距離は300mくらいですが、ラストマイルと呼んでいます。 上の地図は、本当の1マイル(1.6km)の線を重ねたものです。オリパラ組織委員会のリストに原宿駅は入っていませんが、1マイルに入っています。実際歩いてみると一息で歩ける距離です。やはり山手線の駅は利便性が高く、原宿は人気の観光スポットなので、利用する人は多いと思います。原宿駅も”ラストマイル”に加えることを、オリパラ組織委員会のご担当に提案をしました。…

ひと涼みスポット

クールシェアスポットは、省エネ・地球温暖化防止を主目的として展開しているので、「概ね1時間以上すごせる」というガイドラインがありました。自治体の取り組みで増えてきたのが「熱中症予防」としてのクールシェアの活用です。特に、道を歩いているときにちょっと立ち寄り、休息をとることが熱中症予防に有効なので、その目的で設置されるクールシェアスポットを「ひと涼みスポット」と名付けて展開することになりました。 クールシェアスポット は、ゆっくりとした時間を過ごせる涼しい場所です。広場や公園などの自然で涼しく過ごせる場所、カフェやレストラン、美術館などの有料のスポットと、ギャラリーや図書館などの無料で使えるスポットがあります。 ひと涼みスポット は、道を歩いていて”ひと涼み”したい時に、気軽に立ち寄れるクールシェアスポットです。熱中症予防のために活用しましょう。その多くが無料で入れま…

東京緑地計画 から 涼都2050へ

戦前に「東京緑地計画」という、東京23区を「グリーンベルト」で取り囲み、東京都心部の成長を抑制しよう、という壮大な都市計画がありました。用地の買収が進められましたが、戦時中にその目的が戦火の拡大を防ぐための「防空緑地」に置き換えられました。そして残念なことに戦後、GHQの指揮下の農地開放により、東京緑地計画は消滅してしまいました。買収済みの用地も戦時中の食糧難で畑になっていたために農地と見なされてしまったのです。現在の小金井公園、深大寺植物園、砧公園、舎人公園、水元公園などにその名残を見ることができます。戦災復興計画として再度立案されますが、その基盤は失われていました。 1958年の第一次首都圏基本計画では、1944年の大ロンドン計画をお手本とし、都市の成長を抑制するためのグリーンベルトが「近郊地帯」として計画されます。しかし、開発抑制に対する地元農民による激しい反対運動やスプロール化の進…

打ち水自転車

打ち水の効果は限定的ですが、暑い日に「涼」を演出する日本の知恵として活かしたいものです。道行く人の近くで、伝統的なからくり人形が、けなげに打ち水をする。その楽しい仕草に一瞬でも暑さを忘れ、立ち止まって写真を撮る人もいるでしょう。 2018年7月にこの提案をしましたが、実際に制作する流れになりませんでした。今年は(有)マイテクの秋山岑生さんとの出会いがあり、技術的には具体化への道筋が見えてきました。まだ製作資金の当てが無いのですが、このプロジェクトにご興味をもたれた方はぜひご連絡ください。 (有)マイテクのホームページ 本件の問い合わせ先: ryoto@coolshare.jp 03-6421-2118 (クールシェア事務局)…

暑くなる大都市 〜東京ヒートマップ

堀内が「ヒートアイランド現象」という言葉を最初に学んだのは、1975年に東京芸術大学で受けた尾島俊雄先生の授業でした。出版されたばかりの『暑くなる大都市』という著書をテキストに、まさに熱く語られていましたが、それが今のような大問題になるとは、思いませんでした。建築からの人工廃熱と、日射の蓄熱によるヒートアイランド現象、それを緩和できる緑地と水面の効用など、尾島先生は早くから語られていましたが、残念ながら高度経済成長の時代には、あまり注目されなかったと思います。一方で、欧米の先進都市ではその防止に早くから取り組んでおり、ロンドンのグリーンベルトの計画は別格として、ポートランドの建築規制、シュツットガルトの風道の計画といった、都市の構造に関わる根本的な対策が進められたのは80年代頃からです。まさに尾島先生がヒートアイランド現象を指摘されていた頃です。 一極集中が是認されている東京では、残念なが…

クールシェア in 日本橋

昨今の「酷暑」状態から、街に来た人の熱中症対策が求められています。来街者の暑熱対策をねらったクールシェアのモデル事業として、2018年7月26日から8月9日まで(2年後の東京オリンピック開催期間を想定)「クールシェア in 日本橋」が開催されました。このモデル事業では、期間限定とはいえ、メガバンクの支店、郵便局といった施設で、接客空間やロビーをクールシェアスポットとして開放するという画期的な社会実験が行われました。 実施時には既存のクールシェアスポット(ゆっくりとした時間を過ごせる)との混乱が一部で生じました。そこで、熱中症予防のための「短時間の利用」を想定した「ひと涼みスポット」を導入することになりました。 記録映像をご覧ください。Youtube ←クリック…

GREEN LINK:涼しい歩行者ルートの提案

国道、都道、区道といった、公共施設の各管理主体がそれぞれ実施している暑熱対策を連携させ、民間の敷地内の対応によるクールシェアスポットも活用し、涼しく安全に歩ける歩行者ルートを連続させる。 連続した木陰を提供するほか、一定距離以内に、一休みできるスポットを設置する。 そのようなスポットは、シェアマップを使えばすぐに見つけることができる。…

POPS

POPS: Privately Owned Public Space とは、オフィスビルなどの民間施設が提供する、一般に開かれた広場などであり、その発祥はニューヨークである。最初は彫刻が設置される程度であったが、ベンチや椅子、木陰があるポケットパークが生み出された。そして、対象が屋内空間にも拡げられ、夏は冷房が効き、冬は暖房された空間は、市民や観光客が一息つける憩いの場となっている。宅地内なので、その維持管理はビルオーナーの負担である。ニューヨークの中心部には数多く存在し、ニューヨーク都市計画局はオンラインでPOPSを検索できる地図を公開している。ニューヨーク都市計画局のオンラインマップ(緑色の項目に絞ると、POPSが表示される) 日本でもニューヨークに倣って導入された「公開空地」であるが、ニューヨークが日本と違うのは、その使い道についてガイドラインがあり、用途や維持管理についてもチェック…

日比谷シャンテ広場(旧)

1987年に完成した日比谷シャンテ ”合歓の広場” は、堀内が独立して最初に手がけた公共の作品である。ここには木陰のベンチ、せせらぎ、カフェがあり、だれでもが一息つけるポケットパークである。カフェの建物は、あまり自己主張せずに、都市に溶け込むようにデザインされた。このような公開空地(POPS)が東京にも増えることを期待しているが、2018年に”日比谷ゴジラスクエア”となり、残念なことに様変わりしてしまった。ここに記録として紹介したい。…

クールシェアハット(遮熱帽)

 昔なつかしい、折り紙の「兜」にヒントを得たクールシェアハットは、紙一枚あれば、折り方のマニュアルを見ながら約2分で制作でき、折りたたんで携帯できます。襟元まで被すので、通常の帽子より遮熱性が高いのが特徴です。日傘のように面積をとらず、突起もないので安全です。スタジアムの観客席や、マラソンコースの沿道で応援する時に大勢が被っても、後の客の目線を遮りません。 この帽子の折り方は、創作折り紙作家の 坂田英昭氏 の考案によるもので、だれでもが自由に使える許可をいただいています。(折り方のマニュアルは出版社の許可が取れ次第、こちらで公開します) 少し厚めの紙で作りますが、試作に使ったのは障子紙(ポリプロピレン入りの耐水和紙:ひとつあたり200円程度)です。普通の紙より折りやすく、頭へのフィット感もあります。 クールシェアスポットで紙を配付し、そこで涼みながら折り、被って外に出かける、といった普及方…

東京なごみマップ

2002年に雑誌 BE-PAL 編集部 と協働し作った、東京なごみマップ。 じつは、シェアマップの原点はここにあります。 そのきっかけは、堀内がニューヨークから持ち帰った小さな一冊の本、『new york’s 50 best places to find peace and quiet』(ニューヨークで平穏で心静かな気持になれる50の場所)。 書店のレジ脇の手に取りやすいところにありました。いわゆる観光ガイドでなく、商業施設は一切無し。 ニューヨークでリラックスできる、どちらかという隠れ家的な場所を著者の視点で選び、紹介した本です。 東京なごみマップは、グループに分かれて自転車で取材しましたが、この展開が「東京自転車グリーンマップ」の原点となりました。「シェアマップ」はクールシェアの展開など、その目的が多様化していますが、ぜひこの原点を大切にしたいと考えています。 小学館 BE…

ヨコハマポートサイドの都市デザイン

1987年頃から、私が最初に本格的に取り組んだ都市デザインが「ヨコハマポートサイド地区」です。私が留学していたイエール大学に臨時講師として来た都市デザイナー ジョナサンバーネット(Jonathan Barnett)の「建築をデザインしないで都市をデザインする」という話に感動したことが、この原点にあります。ニューヨークの都市デザインのゾーニングの歴史の紹介に始まり、当時建設中だった Battery Park City の都市デザインの具体について知りました。それは「都市デザインガイドライン」による、建築計画の誘導手法です。 ニューヨーク都市計画局の立役者の Richard Weinstein がイエール大の先輩だということを知り、迷い無く彼が働いた建築家 Edward Larrabee Barnes の事務所にポートフォリオを持って就職申し込みをしたところ、採用していただき、2年間の充実した…

限界芸術論・考現学(環境共生論)

現在、多摩美術大学環境デザイン学科では授業として「環境共生論」(前期)、「コミュニケーション環境デザイン」(後期)、「共有領域としてのデザインの展開(淡路島)」(通年)を担当しています。通常、授業はその場限りで消えてしまいますが、コロナ渦の対応としてオンライン授業の対応をやむを得ずやらざるを得ず、その結果として過去の授業がYoutube に残されています。本来ならば授業料を払っている学生にしか公開されないものですが、私自身の記録としても有効なものなので、アーカイブとしてこちらで紹介することにしました。この授業はまだ継続していますが、毎年内容は更新しているので、新規に受講する学生にとっての不都合は無いと考え、また、もう授業配信はしていないので、受講生にとっては復習用に有効かと考えます。 最近、「買上展」にて藝大の大先輩、今 和次郎の卒業制作を拝見する機会がありました。彼が創始した『考現学』は…